肩こりは様々な要因が複雑に絡み合って起こります。しかし、肩こりの原因に対して適切なアプローチを行えば、しっかりと治療する事ができます。
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肩こりを治すのに必要な2つのポイント
肩こりの原因は他の記事で
・筋肉由来
・骨、関節由来
・神経由来
・ストレス由来
・ガンなどの疾患由来
この5つに分類できると書きました。
メカニズムに関しては下の記事をご参照下さい。
肩こり対策のストレッチポール編は下の記事をご参照下さい。
肩こり治療のポイントは大まかに分けてたった2つです。
・生活習慣の見直し
・筋トレや有酸素運動、ストレッチをする
なんだこれだけか、と思うかもしれません。
しかし、肩こりで悩んでいる人の大半は、この2つのポイントをしっかりと実行できていない事が多いんです。
特に肩こりの場合、生活習慣の見直しがとても重要になります。
筋トレも確かに重要です。
体を支える力が付くわけですから、その分、血流悪化に伴う痛みが出るまでの、時間稼ぎはできます。
しかし、筋肉だけつけて姿勢が悪いままでいたら、将来的に腰などが曲がったまま変形してしまうリスクが高くなります。
よって、一番良い方法は、姿勢や体の使い方を改善し、筋トレで体を支える力をつける事で、肩や首への負担を軽減する事だと私は思います。
今回は肩こりの原因を改善するための「生活習慣の見直し」について、肩こりが起きやすい座位姿勢に焦点を当てて説明して行きます。
姿勢のチェックを習慣にする
一番肩にとって良くない姿勢は猫背です。
横から見ると、背中が丸まって頭が前に突き出た状態です。
これは誰が見ても首や肩が悪そうに見えます。
猫背の人は結構多いですが、たまに背筋がピーンと伸びている人でも肩こりを訴える事があります。
その場合は、僧帽筋上部に力が入っていて、両肩が常に上がっている場合がほとんどです。
両肩に常に力が入っていれば、血流不足によって疼痛物質が出現し、肩こりを感じるようになります。
肩こりに悩まされている人はほとんどの場合、自分の姿勢が悪い事をわかっていない事が多いです。
背筋を伸ばして下さいと言っても、背中が少し丸まっていたりします。
つまり、頭の中で背中の丸まった状態が普通の姿勢と、認識されてしまっているのです。
これは良くないですね。
一番いいのは鏡で確認するか、他の人に見てもらう事です。
その時のポイントは以下の通りです。
・前かがみの姿勢になっていないか。
・頭が前に突き出ていないか。
・背中が丸まっていないか。
・両肩が前に突き出ていないか。
・姿勢を正すのを意識し過ぎて腰を反っていないか。
この5つのポイントを横から見てチェックして下さい。
最初の頃は、出来れば複数の人に見てもらった方が良いでしょう。
良い姿勢を意識する
良い姿勢はチェックするポイントの真逆を行えば大丈夫です。
・背中を伸ばす。
・顎を引く(力が入り過ぎないように)
・胸を軽く張る。
そうすれば自然と肩への負荷は軽減されます。
理想的な立位姿勢は、横から見た縦のライン(耳・肩・股関節・足のくるぶしを結んだ線)がまっすぐになります。
座位姿勢ではお尻を中心に肩・耳を結ぶ線がまっすぐになるように意識しましょう。
姿勢をチェックする時に悪いポイントがないかチェックしたら、横から見た縦のラインを意識して下さい。
同じ姿勢は30分以上続けない
いい姿勢が出来れば大丈夫、というわけではありません。
いい姿勢でいても肩の筋肉はある程度収縮し続けているため、長時間経つと疲労します。
疲労が続けば、いずれ痛みとして出てきます。
よって、同じ姿勢は30〜40分くらいを目安にしましょう。
30分経ったら体を動かしたりして体がリラックス出来る様に、一息ついたり軽い運動やストレッチをしましょう。
なんでもいいです。
体が緊張していると、全身の筋肉は固くなりやすくなるため、まず精神的に安らげる事が大事です。
場所を変えてコーヒーを飲むだけでもいいですし、深呼吸や肩回し、ストレッチでもいいです。
人によっては30分経つ前に肩が辛くなる人もいると思います。
その場合は速やかにブレイクタイムを入れて下さい。
良い姿勢を意識するための運動
30分同じ姿勢でいて、ブレイクタイムに入ったら軽い運動をしましょう。
まず肩甲骨を動かす3つの運動をします。
・両手を頭上に思いっきり突き上げる(脇の辺りの筋肉を伸ばす感じ)
・両手を頭の後ろで組み、肩甲骨を寄せながら両肘を横に開いて、胸を張る。
・背中を伸ばし、顎を後方に軽く引く。
大きく息を吸って、吐きながらこれらの運動を行いましょう。
ポイントはできるだけ長く息を吐き続ける事です。
息を吐く時は副交感神経が優位になるため、精神的にリラックスしやすくなり、筋肉の緊張も落ち着いてきます。
息を吸った時間の倍以上は息を吐き続けましょう。
例えば6秒息を吸ったら、12秒以上息を吐き続けて下さい。
この運動後に時間があれば、反復運動もしましょう。
・肩甲骨を後ろに寄せる・離すを繰り返す。
・両肩を挙げる・降ろすを繰り返す。
・腕を前から挙げる・降ろすを繰り返す。
・腕を横から挙げる・降ろすを繰り返す。
この4つの運動をそれぞれ10〜20回行います。
ポイントはゆっくりと、無駄な力を入れないようにです。
肩こりの人は、無駄に力を入れて勢いよく挙げたり・降ろしたりします。
体がブレたりする人もいます。
これでは中々脱力出来ずに、常に筋肉がこわばってしまうため、注意が必要です。
単純な運動でも正しい動かし方を意識する事が重要なんですね。
意識するだけで、脳は学習して徐々に正しい無駄のない動きをするようになります。
この正しい無駄のない動きを覚える事が、肩こり改善のポイントになるんですよ。
正しいイス座位は背もたれを活用する
イスの座り方は意識していますか?
大事なのは背もたれを活用する事です。
まず、悪い姿勢がどんな姿勢かというと、
・イスに浅く座る。
・背中が丸まっている。
・頭が前に突き出ている。
・アームレストを使っていない。
これでは肩こりにもなりますし、ストレートネックにもなりやすくなります。
では良い姿勢はどういうものかというと、
・イスに深く座る。
・背筋を伸ばし、背もたれに軽く寄りかかる。
・顎を軽く引く。
・アームレストを使用する。
この4つを意識しましょう。
ちなみに背もたれは、深く腰掛けて軽く寄りかかると、背中や首への負担は減るんです。
背もたれに寄りかかると、体が少し後方に傾きます。
そうすると姿勢を保つのに背中の筋肉より、体の前側の筋肉を使うようになります。
よって、首や背中の筋肉にかかる負担が減るんです。
あとアームレストですが、これはイスの形状やデスクとの高さの関係で、どうしても活用できない場合があります。
本来であれば、良い姿勢でアームレストに腕を乗せて、そのままキーボードを打つなど出来るのが理想です。
代用として、膝上にクッションを置くとアームレスト代わりになるので、試して下さい。
その他の方法としては両腕をデスク上に置いて、作業をするという方法もあります。
猫背になりやすい人はクッションを使用する
猫背になりやすい人は、イスに座っても猫背になりやすくなります。
そういう時は腰のあたりにクッションを入れてみてください。
背筋が伸びやすくなりますし、とても楽です。
この状態を続けていれば、体が自然に良い姿勢を覚えてくれるので、ある程度意識できるようになったら、徐々にクッションを使う頻度を減らしましょう。
そして、無意識に良い姿勢を保てればOKです。
ちなみにですが、元々腰が反り腰の人は使用するときに注意が必要です。
クッションが反り腰を助長させて、腰痛の出現・悪化をさせる場合があります。
反り腰の人は軽くおへそを引っ込めるように意識しましょう。
そうすると腹横筋という体を支える作用のある筋肉に力が入り、体幹が安定します。
イスを高機能のイスにする
職場のイスやデスクを買い換える事は、中々難しいと思います。
しかし、家で作業する事が多い方であれば、高機能のイスを購入した方が肩にかかる負担は減ります。
・肘掛の高さ調節ができる。
・リクライニング機能がついている。
・ヘッドレストが付いている。
少なくともこの3つは絶対に必要な機能です。
人は体を支える時、接地面積が多いと力が抜けていきます。
長い背もたれやヘッドレストがあると、支える場所が増えるためリラックスできるので、作業効率が上がるかもしれません。
イスと机の高さを調節する
高機能のイスで素晴らしい机を揃えても、高さが合っていなければ意味がありません。
ポイントは2つあります。
・イスに深く腰掛けて良い姿勢をした時に、膝頭がお尻より少しだけ高くなる。
・手をデスクに乗せた時、肘の曲がる角度が約90°くらいになっている
肘の角度は少し少なくても、楽であれば問題ありません。
これは絶対ではないので、色々と微調整して自分にあった位置を見つけてみて下さい。
PCの位置をデスクボードで高くする
高機能なイスにするのも必要ですが、パソコンの位置を高くするという手もあります。
パソコン作業をしていると、結構下を向いて作業をする事が多くなってしまいます。
しかし、パソコンの位置が高くなると、自然に目線が上になり良い姿勢を保ちやすくなります。
私もiMacにデスクボードを使用しており、そのおかげで首にかかる負担はかなり減りました。
おかげで、自宅での作業中に肩こりを感じた事は1度もありません。
我が家のデスクボード についてはこちらの記事で紹介しています。
よろしければご参照下さい。
「Macにオススメのデスクボード (机上台)はキングジムで決まりな3つの理由」
最後に
ここまで肩こり生活習慣の改善、特に座位姿勢の修正に焦点を当てて書いてきました。
肩こりは適切なアプローチを行えば、ちゃんとに良くなります。
ポイントは客観的に痛みを捉えることです。
ここまで述べた方法は、人によって効果の出る期間も違いますし、合う方法、合わない方法もあります。
例え効果が薄くても、違う方法を試してみようとか、方法が間違っていなかったか見直してみよう、という意識が重要です。
慢性的な肩こりを治すには時間がかかります。
少しでも効果が出たら、それは正しい方法なので継続してみて下さい。
何事も焦らずに冷静に行う事が大事です。