肩がいつも凝っています、両肩がバリバリ・ガチガチです。よくこのような言葉を耳にする機会は多いのではないでしょうか?
肩こりを治すにはマッサージや運動など様々な方法が浮かぶと思います。これで治れば特に問題ありません。しかし、それでも肩こりに悩まされている方は多いのではないでしょうか?
実は人間の痛みを改善するには、メカニズムそのもをまず理解しないと意味がないのです。
目次
肩こりは腰痛と並ぶ国民病
オフィスでデスクワークをする人、育児や家事で忙しい人、色々ストレスそ抱えている人など、肩こりを抱えている人は結構多いんです。
それもそのはず、肩こりは日本の有症者率Best3に入っている程、肩こりを訴えている人が多いんですよ。
ちなみに「有症者率」とは病気や怪我などによる痛みなどの自覚症状を訴えている人、つまり「有症者」が人口1000人当たりどれくらいいるか割合で表したものです。
肩こりとは別に腰痛もBest3に入っています。
普通に生活していても肩こり・腰痛を訴えている人は多いですよね。
ちなみに女性の方が男性よりも、肩こりを訴える人の割合は多いです。
男女共に年齢が上がるほど、肩こりを訴える人は増えてきますが、女性の方が増加する割合が顕著です。
また、女性は10代の頃から肩こりを訴える事が多くなってくるのも特徴なんです。
原因は様々ですが、考えられる因子としては筋肉量の問題や、精神的ストレスによる影響が考えらます。
これはあくまで私の考察ですが、まず前提として肩こりは精神的ストレスの影響を受けやすい事が挙げられます。
体を支える筋肉量が少なく、学校の授業などで長時間肩や首にストレスがかかり続ければ、肩こりになりやすくなります。
そして、10代の女性は男性よりもストレスを受けやすく、これらが複雑に絡み合って肩こりが起きやすくなるのです。
肩こりはこのように、様々な要因の影響を受けて発生するものです。
そして、よく耳にするのが「マッサージやいろいろなグッズを買って試しても、効果は一時的で完全には治らない。」という言葉です。
「騙し騙し肩こりと付き合っている。」と言われる方は意外と多いです。
「肩こりを全く感じた事がない。」、と言う方もいるのは事実です。
原因にもよりますが、ほとんどの肩こりは改善する事が可能です。
そして、治療を行う上でのポイントは「その肩こりが、日常生活を送る上で支障になっているか。」がポイントになってきます。
肩こりを完全に無くす事は難しいかもしれません。
しかし、大幅に肩こりの出現頻度を減らす事は可能です。
ではどうすればいいのかというと、
「肩こりのメカニズムを知る。」
これが肩こり改善の鍵です。
人は得体の知れない状態になると、この先どうなるのか不安を感じます。
不安が長期間続くと、うつ病になりやすくなったりと悪循環で日常生活の質を下げます。
そのため、肩こりのメカニズムを知っておけば、適切な対処法を取る事が出来て不安も感じません。
マッサージでもなく、運動でもなく自分の肩こりの原因を知る事が大事です。
まとめ
・肩こりはほとんどの日本人が経験した事がある。
・女性は肩こりの割合が多く、10代の頃から症状が出やすい。
・肩こり解消のポイントはメカニズムを知る事。
肩こりの原因は筋肉の血行不良!?
肩こりは色々なことが原因で発症します。
しかし、そのほとんどが筋肉の血行不良である事が多いのです。
その前に肩こりにはどのような症状があるのかまとめてみます。
一般的な肩こりの症状
・頚部から背中にかけての痛み・こり感・重だるさ・不快感
・頭痛
・自律神経症状(めまい・吐き気・食欲低下など)
・手や腕の痺れなど
まず頚部から背中にかけての痛みなどは、感じる事が一番多い症状だと思います。
そして、その次に多いのが頭痛です。
慢性的な肩こりがある方は頭痛を訴える事が少なくありません。
肩や背中の筋肉が硬くなると、後頚部や側頭部、後頭部の筋肉も硬くなります。
そうすると血行不良を起こし、頭痛も起きてしまうようになります。
次に厄介なのは自律神経症状です。
この自律神経症状は肩こりだけでなく、腰痛持ちの方も出現しやすい傾向にあります。
肩こりと腰痛は自律神経と密接な関係にあり、これらの症状が慢性化すると抑うつ症状が出やすくなる、との報告もあります。
そして、手や腕に痺れを起こすこともあります。
頚椎神経の炎症による影響で手や腕に痺れが出現する事は良くありますが、肩こりが悪化して筋肉が硬くなりすぎると痺れとして出現することもあります。
このように、肩こりは様々な症状を呈します。
これがいっぺんに出現したら辛いですよね。
ですが、肩こりさえ解消できればこの症状は改善します。
次に肩こりのメカニズムを説明していきます。
筋肉の血行不良が痛みの根源
肩こりの鍵を握るのは筋肉である事が多いです。
そもそも筋肉は、筋繊維という非常に細い繊維が数千単位でまとまった組織です。
この筋肉は筋膜という組織で覆われています。
肩こりに関係する筋肉はたくさんありますが、よく言われているのが僧帽筋・後頭下筋群・胸鎖乳突筋です。
筋肉は適度に動かして、使う分には特に問題ありません。
柔らかくて弾力性に富み、ゴムのように伸び縮みします。
しかし、デスクワークや車の運転など、同じ姿勢を長時間強いられると、筋肉はこわばり硬くなります。
筋肉は硬くなると弾力性やゴムのような伸縮性も失われていきます。
これが悪循環の始まりで、同姿勢を続ける事で筋肉のこわばりはどんどん悪化していってしまうんです。
そしてどうなるかというと、筋肉内の圧が上がり、血管が圧迫された状態が続くようになります。
血流が悪くなってしまうんですね。
筋肉は動かすのに栄養が必要で、その栄養を血液が運んでいます。
つまり、血流が悪くなると筋肉に栄養が行きづらくなるんです。
これは大変と、司令塔である脳に知らせるために疼痛物質というものが放出されます。
この疼痛物質によって肩こりを感じるようになります。
肩こりは筋肉に栄養が行っていない、という警告なんですね。
肩こりになると、その部位周辺は更に硬くなります。
そして悪循環に陥り、ますます肩こりを感じるようになるのです。
なので、肩こりをまだ感じたことのない人も、知識として肩こりのメカニズムは知っておいて欲しいと思います。
あとはなぜ同じ姿勢でいると筋肉がこわばってくるかというと、先程挙げた筋肉の内、僧帽筋は頭を支える作用があります。
僧帽筋などで姿勢を支えていると、筋肉は当然疲れてきます。
それを休めようと、背中を丸めたりする事があると思います。
背中を丸めると、今度は先程挙げた筋肉の後頭下筋群や、胸鎖乳突筋などに負荷がかかります。
長時間座っているという事は、かなり負担になるという事です。
座っている姿勢だけでなく、立位でも長時間同じ姿勢でいる事は負担となります。
何事も程々が一番なんです。
ここでまとめます
肩こりの悪循環
1.不良姿勢を長時間続ける。
2.筋肉がこわばり血流障害が起きる。
3.疼痛物質が出現。
4.肩こりを感じる。
5.肩こりを感じると、更に緊張しやすくなる。
肩こりを起こす5つの要因
肩こりを解消するには、まずどのような要因が影響しているかを突き止める必要があります。
ですが要因は複数存在し、それらが複雑に絡み合っている事が多いのが現状です。
そのため、ちょっとマッサージしたり、運動したりするだけでは治らないこともあるんです。
要因は様々ありますが、大まかに分類する事は可能です。
肩こりの要因を大きく分けて5つに分類して見ました。
・筋肉由来
・骨、関節由来
・神経由来
・ストレス由来
・ガンなどの疾患由来
筋肉由来
これは先程述べたように、不良姿勢や長時間同姿勢による影響で起きる筋肉の血行不良が原因で起きるというものです。
ちなみに糖尿病や心臓病などの持病があると、筋肉は硬くなりやすくなり、肩こりの解消に多くの時間を必要とする事があります。
この筋肉による肩こりは、単純に運動不足や老化などで体を長時間支える力がなかったりすると、発症しやすくなります。
これだけが原因であれば、筋トレをして長時間負荷のかかる事をしなければ、問題ないでしょう。
骨、関節由来
これは不良姿勢や加齢、外傷、生れつきの影響により頸椎変形や肩甲骨の位置異常、なで肩などが起きる事が関係します。
これらの変形や位置異常があると、正常な状態と比較して肩こりが起きやすくなります。
痛みの原因としては筋肉の結構不良によるもので、筋肉由来と同じじゃないかと思われるかもしれませんが、今回は骨組みの変形が関係してきます。
近年、増えているストレートネックなどが該当します。
頚椎は元々前方に緩やかなカーブを描いていますが、ストレートネックはそのカーブが消失した状態を言います。
首に負荷がかかりやすくなった状態です。
なぜこのような状態になるのかというと、やはり長時間の不良姿勢が影響してきます。
特にスマホを見るために下を向く事が多い方は、要注意です。
最近は学生でもすでにストレートネックが多く見られ、姿勢が物凄く悪い事が多いです。
また、骨格の変化は努力で治るものではありません。
そうなってしまった場合、骨格の変形があるまま肩こりと戦って行くしかありません。
しかし、あくまでも肩こりが少しなりやすくなるだけで、絶望する事はないんです。
筋肉由来のように適切な対処を行えば、肩こりの強度と頻度は大幅に減少、または消失させる事ができます。
神経由来
これは首から出ている神経に炎症が起きたり、傷ついたりする事によって肩こりが起きるというものです。
頚椎ヘルニアや胸郭出口症候群などが挙げられます。
頚椎ヘルニアは頚椎の間にあるクッションの椎間板が、様々な要因によって後方に突出し、神経に影響を与えるというものです。
胸郭出口症候群は、生まれつきの体形により、神経や血管を圧迫する事によって様々な症状をだすというものです。
これらの疾患はしばしば、腕などに痺れや筋力低下を起こす事があります。
大抵の場合、適切な対応をして時間が経てば改善する事が多いですが、中には手術が必要な場合もあります。
これらが原因の場合は、病院に行こうと思うような症状が出ていると思いますので、早めに受診した方が良いでしょう。
ストレス由来
ストレス社会と言われる現代では、様々は影響でストレスを感じます。
人は人間関係や仕事などで強いストレスを感じると、自律神経が乱れます。
大抵の場合、交感神経が優位となり、全身の筋肉が硬直しやすくなります。
結果として血流障害を起こし、肩こりを感じやすくなります。
また、様々な刺激に対する感受性が高くなります。
さほど気にならなかった筋肉痛などが、激痛に感じるようになったり、不眠や集中力の低下など様々な症状を呈する事があります。
こうなると、ただ運動やマッサージしただけでは治らない事が多いです。
その方の心理的なアプローチが必要となってきます。
ポイントとしては認知行動療法という心理療法がオススメです。
育児関連の内容ではありますが、詳しくはこちらに書いてありますので、よかったらご参照下さい。
ガンなどの疾患由来
ガンなどの重篤な疾患が原因として起こる肩こりです。
具体的には頚椎腫瘍や肺ガン、靭帯骨化症、感染症などが挙げられます。
リラックスできている状況でも痛みが変わらなかったり、急激に症状が悪化するようであれば注意が必要です。
早急に整形外科を受診しましょう。
最後に
ここまで肩こりのメカニズムと5つの要因を述べてきましたが、少しは参考になりましたでしょうか?
肩こりは様々な要因が複雑に絡み合ってできた症状です。
慢性的に悩まされている方は、治療にも長期間かかると思っていた方が良いでしょう。
しかし、適切な対応と取れば肩こりは必ず改善していきます。
肩こりは一気にとれるものではありません。
少しずつでも改善していれば、やっている治療法は効果が出ていると言えます。
そして、一番大事なのはメカニズムを知り、肩こりに囚われない事です。
痛みはやりたくない事を避けるための、言い訳にもなります。
ある行動を考えたり実行しようとすると、肩こりが出る方もいるんです。
これは無意識化で起きるので、自分で気づくのは大変です。
心理療法で自分を客観的に見る事ができれば問題ないのですが、これは中々難しいです。
肩こりは複雑です。
しかし、しっかり対応すれば良くなります。
治療編は生活習慣改善編とストレッチポール編があります。
生活習慣改善編は下の記事をご参照下さい。
「肩こりの治療に大事な2つのポイント。生活習慣を見直せば良くなります」
ストレッチポール編は下の記事をご参照下さい。